精神科療養病棟病の看護師はどんな仕事をするのかな?
暗くて怖いイメージがあるけど…
今回はこんな疑問にお答えします。
この記事を書いた私は現役看護師8年目。
総合病院へ6年務めたあと、精神科療養病棟へ転職し勤務していました。
この記事を読めば
- 精神科療養型病棟で働くの看護師の仕事内容
- 精神科療養型病棟で働くメリット・デメリット
- 精神科療養型病棟に向いている看護師
- 精神科療養型病棟に転職するときのチェックポイント
がわかります。
とはいえ
療養といっても精神科ってなんか怖くない…?
暴力とかあるんでしょ?
と思う不安に思う看護師も多いでしょう。
そこで今回は精神科療養病棟に入院していた患者さんの症状も具体的にお伝えします。
精神科療養型病棟の特徴を知れば自分が働きやすい職場なのかがわかります。
職場選びに後悔したくない看護師必見の内容です。
精神科で働く看護師の仕事内容
看護業務の実際
精神科療養病棟で働く看護師の主な仕事は
- コミュニケーションによる心理的ケア
- 薬の管理。与薬の援助
- 排便コントロール
- 患者さんの精神症状の観察
- 患者さんの体の状態のアセスメント
- 身の回りのサポート
です。
それぞれ見ていきましょう。
コミュニケーションによる心理的ケア
精神科看護師の仕事は、患者さんとのコミュニケーションによる心のケアがメイン。そのため他の科に比べて医療行為が少ないのが特徴です。
例えば依存的な患者さんには自分でやるよう声かけをしていたよ。
薬の管理・予約の援助
精神疾患の治療は投薬治療が中心です。
患者さんの中には服薬を拒否したり自己判断で減らしたりする方もいるため、内服がキチンと行えているのかを確認するのは重要な仕事です。
内服薬の飲み込みまでしっかりと確認をしていました。
排便コントロール
精神科に入院する患者さんは向精神薬の内服により便秘になりやすいです。
そのため排便コントロールは重要な仕事です。
排便-1日でピコ24滴、-2日で浣腸というように患者さん事に綿密な医師指示があったよ。
患者さんの精神症状の観察
患者さんの精神症状に変化がないか日々観察をします。
普段より精神症状の悪化がある場合は屯用の薬を内服したり、医師に診察を依頼したりして対応を確認します。
早めに対応することで症状を大きく悪化させずに過ごしてもらえるよ。
患者さんの体の状態のアセスメント
身体状態の観察アセスメントも重要です。
精神科でよくあるのが
- 抗精神薬による鎮静が強くでて誤嚥性肺炎
- 患者さんの慢性疾患が悪化
です。
精神症状だけでなく全身状態の観察は大切な仕事です。
高齢者が多いから偽痛風や尿路感染もよくみかけたよ。
生活ケアなどのアシスタント
精神科療養病棟には精神疾患によりセルフケアが疎かになっている方、高齢により日常生活に介助が必要な方がいます。
そういった方の援助も行います。
爪切りや髭剃りは声をかけないとやらない人もいた。
精神科療養病棟で行う医療行為の実際
医療行為が少ない精神科療養病棟。
どのくらい医療行為が少ないのか見ていきましょう。
私が勤務していた病棟で行ったのは
- バルーンカテーテル交換
- 採血
- 吸引
- 軟膏塗布
- 点眼薬の投与
- 内服管理
- 酸素投与 ほぼない
- 点滴 ほぼない
です。
点滴を行ったのは4か月間で2回だけでした。
サーフローはほとんど刺す機会がなかったです。
精神科療養病棟勤務だとサーフローを刺す技術は維持できないでしょう。
勤務していたのは精神科単科の病院だったから、肺炎など治療が必要な状態になると一般科のある病院へ転院していたのが点滴が少ない要因かも。
精神科患者さんの実際
私が精神科療養病棟に勤務していた時に多かった疾患は
- 統合失調症
- 認知症
です。
断トツで統合失調症が多かったです。
統合失調症の患者さんの実際
私が勤務していた精神科療養病棟は症状の落ち着いている人が多かったです。
若い人は普通に会話出来てなんで入院しているのだろうと感じる人もいました。
ただ、ふとした時に独語があったり、会話の内容がかみ合わないことがあったりして幻覚や妄想があるのだと気がつきます。
実際にあった妄想の内容は
・サタンに気にいられている
・中国人に監視されているか数学の問題を解きつづけないといけない
・〇〇さんが私の悪口を言っている など
です。
他にも廊下を何度も往復する、マスクを付けたりはずりたりを繰り返すなどの行動がある方もいました。
たまに精神症状が悪化して暴力的になる方もいましたが早い段階で急性期病棟へ移動します。
そのため対応が必要なほどの暴力行為があるのは1回/半年あるかないかでした。
認知症患者さんの実際
精神科療養病棟に入院していた認知症の患者さんは
・声だしが頻回で施設での対応が困難
・暴力により施設での対応が困難
という方が薬剤調整目的で入院されます。
薬剤調整がついて退院できる場合もありますが、コントロールがうまくいかず長期間入院となっている患者さんもいました。
暴力はおむつ交換など嫌なことをすると手がでたり、唾を吐いたりする感じ。
おむつ交換など2人で入れば問題なく援助が行えるレベルでした。
また精神疾患による長期の入院のために高齢となり認知症が発症した方もいました。
精神科で働く看護師の1日のスケジュール
精神科療養病棟の1日の流れを見てみましょう。
日勤
勤務時間 8:30-17:15
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8:20 | 出勤 |
8:30-9:00 | 申しり |
9:00-10:00 | 環境整備陰部洗浄 |
10:00-11:330 | 検温処置 |
11:30-13:15 | 配膳食事介助 |
13:15-14:00 | 休憩 |
14:00-14:30 | オムツ交換 |
14:30-15:00 | 記録処置 |
15:00-15:30 | カンファレンス |
15:30-16:3030 | おむつ交換記録 |
16:30-17:15 | 申し送り記録 |
多くの人が10分前出勤で情報収集はほぼしません。
気になる人がいればその人のカルテをチェックすることもあります。
残業はほとんどなくて定時15分前には記録も終わっていることが多かったです。
夜勤
勤務時間 16:30-9:30
時間 | 業務内容 |
---|---|
16:30-17:00 | 申し送り |
17:00-17:30 | 食前薬の配役 食事が早く出る人の介助 |
17:30-19:00 | 配膳 食事介助 与薬 |
19:00-21:00 | おむつ交換 眠前薬内服 |
21:00 | 消灯 休憩 |
22:00-0:00 | 記録 患者対応 |
0:00 | おむつ交換 |
3:00 | おむつ交換 |
5:00-6:00 | 休憩 |
6:00-7:00 | おむつ交換 |
7:00 | 食事準備 |
7:30‐8:30 | 配膳 食事介助 |
8:30-9:30 | 申し送り 記録 |
夜勤は2名で実施。相手が助手さんのこともあります。
消灯後は患者対応、見回りが中心です。
危険行動がいないか、寝れて患者さんがいないか1時間毎にラウンドします。
仮眠の時間は時間をずらして4時間ずつとっていました。
精神科で働く看護師の平均年収
看護roo!の調査では精神科病院の平均年収は
精神科看護師の平均年収
330-550万円程度
でした。
出典:看護roo!転職サポート 精神科病院で働く看護師の仕事って?給料・やりがい・大変なこと
厚生労働省の発表によると、2021年の看護師平均年収は492万円です。
精神科の看護師は平均的な年収であることがかります。
理由としては
・夜勤があること
・危険手当
があるためでしょう。
ただし精神科療養病棟の場合、残業が少ないため今まで残業代で稼いでいた方にとっては少なく感じる可能性があります。
精神科療養病棟で働いた感想
精神科療養病棟で実際に働いた私の感想です。
良かったこと
精神科療養病棟で良かったことは時間に来て、時間に帰れることです。
コロナのクラスターが起きたときはさすがに残業がありましたが、その期間以外で私は一度も残業がなかったです。
子育て中の方も多くいて、きっちり時間で帰れるのが本当にありがたいと言っていました。
患者さんの状態も安定していて、業務にも余裕があるので病棟の雰囲気がギスギスしていないのも働きやすかったです。
時間の余裕は心の余裕なんだなって思いました。
患者さんとゆっくり話もできるので病棟の雰囲気も明るかったです。
悪かったこと
精神科療養病棟で働いて残念に思ったのは
- 医療処置がないこと
- 個人の病院のため独自のルールがあった
です。
医療処置が本当にありません。
私は子供もいないので、まだバリバリ働けるのにこんなに楽をしてしまっていいのかと今後のキャリアが不安になりました。
また精神科単科の個人病院だったので昔ながらの処置のやり方をしていつことや、本来あるべき方法とは違う方法でケアが行われてる部分がありました。
総合病院でしっかり基本を学んでいたので
看護師としてその方法で行うことに抵抗がある自分がいました。
精神科療養病棟で働く看護師のメリット・デメリット
精神科療養病棟で働くメリット
精神科療養病棟で働くメリットは
- 前残業・残業がない
- 優しいスタッフが多い
- 精神科未経験でも就職がしやすい
- 患者さんに寄り添った看護が提供できる
です。
前残業・残業がない
精神科療養病棟は緊急入院や急変がなど突発的なことがほとんどないため残業がほぼありません。
患者さんの入れ替わりの少なく、状態が安定している人も多いため情報収集のための前残業もないのが特徴です。
実際に私が勤務していた精神科療養病棟では多くの人が10分前出勤でした。
プライベート重視の人、子育てをしている人にはもってこいの環境です。
優しいスタッフが多い
精神科の看護師は他の病棟に比べて優しいと言われています。
実際に私も勤務をしてそう感じましたし、精神科経験のある看護師に質問をすると「優しい」と答えることが多いです。
理由としては
- 男性看護師が多い
- 業務が落ち着いていて時間に余裕がある
ことでしょう。
時間に余裕があるため、些細な事でも相談をしやすい空気がありました。
ただ個人でみると嫌な人はいた!全体の傾向として考えてみてね。
精神科未経験でも挑戦しやすい
新卒で精神科に就職する人は少ないため、多くの人が中途で入職をします。
そのため未経験であっても就職に不利になることはありません。
患者さんに寄り添った看護が提供できる
厚生労働省によると精神病床の平均在院日数は274.7日
一般省の平均在日日数が12日であることを考えると圧倒的に長い入院期間であることがわかります。
1人患者さんに時間をかけてケアを提供することが可能です。
精神科療養病棟に勤務するデメリット
精神科療養病棟に勤務するデメリットは
- 医療行為がほぼない
- 心理的なストレスを感じやすい
- 改善するのに時間がかかるためやりがいを感じにくい
- 患者さんとの距離が近く医療者としての関りではないスタッフもいる
ことです。
医療行為がほぼない
精神科療養病棟では医療行為がほとんどありません。
そのためせっかく身に着けた技術が衰えてしまうことに不安を感じる人もいるでしょう。
特に一般科への転職はハードルが高くなるため注意が必要です。
最新の医療を学びたい人、今後急性期への転職も視野に入れている人には向いていない職場といえます。
心理的なストレスを感じやすい
精神科療養病では精神疾患により暴力を吐いてくる患者さんの対応や、妄想がある患者さんと接することがあります。
精神症状によるものと分かっていても、ケアをしているのに暴言を言われることや、関りがうまくいいかないことにストレスを感じやすいです。
相手の言動に一喜一憂してしまう人は負担が大きい病棟でしょう。
改善するのに時間がかかるためやりがいを感じにくい
精神疾患は治療に時間がかかり変化が見えにくい人も多いです。
看護的なかかわりして症状が落ち着いても、明日には症状が悪化していることも日常茶飯事。
適切な関わり方をしても、それが改善に繋がらない事もよくあるのです。
精神疾患は目に見える結果がわかりにくいこと、時間もかかることから看護にやりがいがないと感じてしまう人もいます。
患者さんとの距離が近く医療者としての関りで適切でないスタッフもいる
精神科は入院期間の長い患者さんが多いのが特徴。
中には20年以上病院で過ごしている方もいます。
そうなると勤続年数が長いスタッフと患者さんの距離が近くなります。
そのため
・患者さんをあだ名でよぶ
・お気に入りの患者さんに少し充実したケアをする
など、フランクすぎる接し方になる看護師もいます。
良い面もありますが、本来あるべき医療者としての接し方との違いが許せるのか考えておく必要があるでしょう。
精神科はこんな人におすすめ
精神科療養病棟勤務がおすすめなのは
- 前残業、残業なしで働きたい人
- 時間に追われずゆっくりと働きたい人
- 夜勤OKで給与を維持したい人
- 医療行為が少ない職場で働きたい人
- 患者さんと時間をかけて関わりたい人
- 人間関係が落ち着いている職場で働きたい人
- 精神科領域に興味がある
です。
当てはまるものが多ければ精神科の求人をチェックしてみましょう。
看護師の転職方法について詳しく知りたい場合は
にまとめてあります。
精神科に転職を考えているときのチェックポイント
精神科療養病棟へ転職を考えているときに、ここを見ておくと失敗をしない!職場探しのポイントをまとめました。
病院の規模
福利厚生や教育制度の充実度を知りたい方は病院の規模を見てみると良いでしょう。
規模が大きく経営基盤の安定している病院は福利厚生や教育体制が手厚い傾向にあります。
有給のとりやすさなどを具体的に知りたい場合は職場見学で直接聞くと教えてくれます。
直接聞くのが気を使うときは転職サイトを活用すると情報を得ることができます。
転職サイトについての詳しく知りたい場合は
のをチェックして下さい。
残業時間の程度
精神科療養病棟は残業が少ないと思って入職をしたら、残業が常習化している病棟だったということがないように事前に確認しておきましょう。
病院のWebサイトもチェックしてみると、残業に関する詳しい情報が掲載されていることもあります
実際に働いている人のリアルな口コミを知りたい場合は知りたい場合は転職サイトorナスコミを利用するといいでしょう。
ナスコミ、転職サイトについての詳細は
をチェックして下さい。
病院のシステムや設備
個人経営の精神科療養病棟は設備や主義が昔ながらのやり方をしていることがあります。
設備であれば
- 今でも紙カルテを使っている
- ベッドのギャッジアップが手動ハンドル式である
- 点滴のラベルが手書き
などです。
また褥瘡処置などのケアも昔ながらの方法や独自のやり方で実施している病院もあります。
独自の病院のシステムや対応の仕方があり、基本からずれた方法をすることに我慢できなくなるスタッフもいます。
基本通りでなくても自分は看護師として我慢が出来るか、受け入れることができるか考えておきましょう。
全ての精神科療養病院が独自のシステムがあるわけではないですが、そういった病院が存在するのも事実。
もし精神科療養病棟でもキチンとした医療を届けたい場合は総合病院の精神科療養病棟を選ぶといいでしょう。
定期的に研修や、人員移動があるため療養型病棟でも情報がアップグレードされやすく、根拠のあるケアを提供している可能性が高いです。
精神科でよくある質問
精神科に就職すると他のところへ転職ができなくなる?
精神科療養病棟に就職した場合、他のジャンルに転職できるか転職サイトのアドバイザーに質問をしました。
療養型病棟、施設は問題なくできる。
急性期病棟への転職は今まで急性期経験があれば可能だが、そうじゃないと苦労する。
と教えてくれました。
今後のキャリアを慢性期病棟や、施設で考えている場合転職は問題ないといえるでしょう。
病院の雰囲気ってどんな感じ?
私のいた病院は「落ち着いているな」という印象でした。
危険行動がないようナースコールは限られた人しかありません。
そのためナースコールが頻回に鳴り続けることもないし、検査やOPE出しでバタバタすることもなくてすごく落ち着いていて静かだと思いました。
精神科は暗くて、閉ざされたイメージがありましたが、そいう悪い意味の静けさではなくて、生活の場だから落ち着いているって感じでした。
精神科療養病棟以外に定時で帰れて楽な職場
精神科療養病棟以外で定時で帰れてゆっくり働ける職場は
です。
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